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第30話 砂漠のオアシス ~アグリサイド~

작가: 光命
last update 최신 업데이트: 2025-04-06 10:39:50

シルフィーネ村を旅立ってからどのくらいたっただろう。

岩がゴツゴツと飛び出ていた北東部の丘を越えて……

永遠と砂の海が広がるところを何日も歩いた。

「まだ着かないのか~

 ずっと同じような景色でさー

 進んでいる気がしない」

「仕方ないじゃろ。

 この砂漠は広大じゃ。

 でも、あともうちょっとじゃ、頑張れ」

ゾルダは剣の中でのうのうとしている。

シルフィーネ村を旅立ってから、一度も出てきてない。

ずっと一人で歩いている。

汗もだらだら出るし、水を飲んでも飲んでも足りない。

なんとか水を確保しつつ進んでいるけど……

それでも足りない。

「あのさー、ゾルダ。

 一歩も外に出てないのにさ。

 何が『あともうちょっとじゃ」だ。

 楽しすぎだろ」

「ワシは戦うときと飲むとき以外は出とうない。

 こんな暑いのに外に出る意味はないのぅ」

ゾルダの言うこともわかる。

大いにわかるが……

「なんで俺だけがこんな目にあうんだ。

 この暑さ、ゾルダも味わえよ」

「いやじゃ、いやじゃ。

 おぬしだけで十分じゃ」

はーっ……

そりゃそうだ……

まぁ、気を取り直して進むしかないか。

ゾルダが出てこないまま、またしばらく歩くと、ようやくイハルの街が見えてきた。

砂漠の中のオアシスといった感じの街のようだ。

たしか、シルフィーネ村を出るときに、アウラさんが、

『イハルに入るには魔王軍を倒さないと入れないかもしれません。

 魔王軍を倒して、イハルに入ったら、領主であるデシエルトを訪ねてくださいね。

 国王から、勇者様が行くことは伝わっていますので~」

とか話していたな。

でも、イハルの街を見ても、魔王軍の欠片もない。

確かに外壁は崩れていたりはするけど……

「なぁ、ゾルダ。

 なんかアウラさんの言っていた状況と違わないか」

「うむ。

 そろそろ戦えるものと思っていたが……

 静かじゃのぅ」

城壁の扉の中へ入り、街を見渡しても、特に大きな変わりはない。

人々も壊れた家や道路を忙しそうに修復している。

「いったん魔王軍は撤退したんだろうか」

「そうじゃのぅ……」

「まずは領主のデシエルトさんのところへ行くか」

街の中心にある立派な屋敷へと向かう。

至る所が破壊されていて、魔王軍の進軍の凄まじさがわかる。

「どれだけ強い魔物が来たんだろうな。

 あちこちが壊れている」

「ワシから見たら取るに足らんものば
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    ムルデの街が近づいてきた。城塞国家の様相で、一面が高い壁で覆われている。そのためか、中の様子は外からは伺えない。城門も大きな構えをしていて、そこでは関所さながらの入念なチェックが行われていると聞いた。高い城壁には憲兵が配置され、たとえ城壁を登ってもアリの子一匹入らせない厳重な警戒をしているとの話だった。そこまで出入りを徹底していると聞いたため、何か粗相をして入れなかったらどうしようと思うと緊張する。「何をそんなに緊張しておる 入れなくても、そいつらを倒せばいいことじゃ」ゾルダは相変わらず脳筋な考えをしている。たまにはしっかりと考えているときもあるけど、大体強さは正義的な考えだ。「マリーもねえさまの言う通りだと思うわ。 マリーたちを止められるものはないですもの」マリーもゾルダに影響されてか強硬派だ。まぁ、魔族自体がそういうものなのかもしれない。人の常識を当てはめてもとは思うが、でも今は人として行動しているのでなぁ。あまり強引に進んで事を荒立てたくはない。「ゾルダもマリーも頼むから自重してくれ。 なんとか通してもらうようにするからさ」しばらく歩くと、城門の前に辿りついた。門は固く閉じられている。ただそこには憲兵らしき姿は見当たらなかった。「あれー、ここに入門をチェックする人たちがいるはずなのになぁー」フォルトナも辺りを見回すが、本当に誰もいないようだ。「本当に誰もいないようだな。 勝手に入っていいんだろうか……」大きな城門の脇にある出入り用の扉を開くかどうか確認してみる。「ギィー……」鍵などはかかっておらず開いているようだ。「入れるようだねー」フォルトナは周りをさらに確認しているが、人の気配はなかったようだ。普段なら城壁の上にいる憲兵たちも見当たらないようだ。「誰もいないのであれば、入っていいのじゃろぅ さっさといくぞ」ゾルダは出入り用の扉を開けてズカズカと中に入っていく。「ちょっと待てって 普段と違うってことは何かあったってことだろ」そう言って、ゾルダを止めようとするが、お構いなしだ。どんどんと先に行ってしまう。マリーもそれについてさっさとついていく。俺とフォルトナは慎重に周りを確認しながら、恐る恐る扉の中へ入っていった。分厚い城壁の中を潜り抜け、街の中へ出ると……そこはよどんだ空気が

  • モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている   第50話 ムルデの街へ ~フォルトナサイド~

    目の前に大きな氷のドラゴンが出てきたと思ったらさー。マリーがしゃしゃり出て、倒そうとしたけど、倒せなくてー。アグリが助けに入って、苦戦しているな―と思ったら……なんか剣とか兜が光りだしてー。光ったなーと思ったら、ドラゴンが真っ二つに割れていたんだけどー。というのがここ最近の流れなんだけど……「ボクの出番がほぼないってどういうこと?」確かに戦いには参加してなかったけどさ。「出番ってどういうことかな。 そういうメタい話は、欄外でやってよ」アグリがなんか言ってきたけど……「何、その『メタい』って言葉! 何言っているかわからないし」分からない言葉を聞いてさらにいらつく。もっとわかりやすく話してくれないかなー。「ごめんごめん。 出番というか、あのドラゴン相手だとフォルトナが戦うのは難しいし、 後ろで控えていたので正解なんじゃないかな」そう言われるとそうだけどさ。ボクに何も出来ることはあの場ではなかったのは確かだけどねー。「ムルデの街までの案内はよろしく頼むよ。 その辺りの情報は持っているんだろ?」アグリはボクを道案内としか思っていないのかな。確かにムルデまでの道のりの情報は母さんに聞いているからわかっているけどさー。「ボクは道案内だけじゃなくて、もっと他にも頑張れるんだから。 そっちも頼ってほしいなー」ちょっと気持ちが収まらないのでグチグチと文句を言う。アグリは苦笑いしながら「頼るところはきちんと頼るから。 機嫌直してくれ」とボクのご機嫌を取りに来た。まぁ、そこまで言うなら、仕方ないなー。「わかったよ。 ちゃんとボクにも役割ちょーだいね」そうアグリに言うと、先頭にたちムルデの街の方へ向かっていく。アグリは慌てた様子で、ボクの隣に並んできた。ゾルダとマリーは、後ろについてくるようだ。マリーは相変わらずゾルダにベッタリしているなー。「そう言えば、ムルデの街というのはどんなところなの?」アグリがこの後向かうムルデの話をしてきた。「ボクが聞いている話だと、なんかとても栄えていて、 人も温厚で、活気があるって聞いてるよ」「へぇ、そうなんだ」アグリはうなずきながらボクの話を聞いてくれた。「ただ、一部の商人や役人以外は、ムルデの街への出入りは出来ない状態なんだ。 街の人たちも、居心地がいいのか、誰一

  • モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている   第49話 目覚めし力は…… ~アグリサイド~

    「危ない!」思わず声を出し、体が反応してしまった。気づけばマリーの前に立ち、氷壁の飛竜の攻撃を受け止めていた。マリーはあっけにとられた顔をしている。「うりゃーーーー」さすがにアルゲオの攻撃は重たい。なんとか受け止めて弾き返したが、まだ手がジンジンとする。さて、この後どうするかな……マリーの力はたぶんもっと凄いのだろう。俺よりか遥かに。ただ前にゾルダもそうだったけど、何かしらが原因で力を出し切れない状態なのだろう。力を取り戻せるようになるまでは、俺もサポートしないと。ゾルダに一喝されたマリーはゾルダの下へと走っていった。涙がこぼれていたようだけど、力が出せないことがよっぽど堪えたのだろう。考えなしにアルゲオの前に立ったけど、どうしたものかな。さっきの感じだと、攻撃はなんとか受け止められそうだけど……俺の力でアルゲオは倒せるだろうか……手伝わせてよと見得を切った手前、やり切らないとな。思わず苦笑いになる。「おぬし、そいつを倒せるのか? ワシはいつでも準備万端じゃぞ」ゾルダはニヤリと笑いながら俺に言った。「やるだけやってみるさ」そう言うと俺は剣を構えて、アルゲオに向かっていった。「グォッーーーーーー」再び吠えるアルゲオ。そして翼を振り切ってきた。「ガーン」重い一手が剣を捉える。「ぐはっ」さっきも受けたけどかなり重いな。アルゲオの重みが一気に乗っかってくる。さらにアルゲオが攻撃をしかけてくる。翼をやみくもに振り回してくるが、すべて剣で受け止める。手数が多くてなかなかこちらからは攻撃が仕掛けられない。「大丈夫か、おぬし 受けてるだけでは倒せんぞ」マリーを抱きしめながら、俺に対しては煽りをいれるゾルダ。そんなことは俺でもわかっている。でも受けるので手いっぱいで、反撃が出来ない。「言われなくてもわかっているよ」前の俺なら、この攻撃も受け止められなかったのかもしれないが、なんとか受け止められている。そういう意味では成長出来ていると実感が出来る。でもここでは、もう一歩先、反撃できる力が欲しい。直接のダメージはないもののジリジリと追い詰められていく。やっぱり俺ではダメなのか。もっともっと強くならないと……力が、力が欲しい……そう強く願う。その時だった。剣と身に着けている兜が光だし共鳴を

  • モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている   第48話 氷壁の飛竜 ~マリーサイド~

    「なんだ! あの大きいドラゴンは?」あいつが大きな声を出す。そんなに大きな声を出さなくても見ればわかるわ。「あいつは確か、アルゲオという氷属性のドラゴンじゃったかな。 氷壁の飛竜とも言われとるはずじゃ」ねえさま、さすがいろいろ知ってらっしゃる。「ボクも名前だけは聞いたことあるけど、実際に見るのは初めてだねー」フォルトナはずいぶん呑気に構えていますわね。「グォーーーーーー」氷壁の飛竜アルゲオが一吠えすると、猛吹雪がマリーたちに向かってくる。風雪に耐えながら、みんなが戦闘態勢を整え始める。特にねえさまからは闘志がみなぎって見えるわ。「さてと…… ワシの出番じゃのぅ」ねえさまが一歩前へ出るところにマリーが割って入ります。「ねえさま、ここはマリーに任せてほしいの」やる気まんまんのねえさまだけど、マリーもいいところ見せたいし。今回はねえさまには悪いけど、マリーに戦わせてほしいわ。「ん? なんじゃ、マリー。 お前がやるというのか……」ちょっと怪訝そうな口調でねえさまがマリーを見てきた。「ねぇ、お願い、ねえさま。 せっかく助けてもらったのだから、少しは役に立ちたいわ」ねえさまが戦いたいのはわかるけど、任せてばかりでは立つ瀬がないわ。ここは是非にでもやらせてほしいという思いもあり、今回は一歩も引かないつもり。「うーん。 仕方ないのぅ。 マリーに任せよう」マリーの覚悟を受け取ってもらえたみたいで良かったわ。ねえさまにいいところを見せないとね。「ねえさま、ありがとう」ねえさまの胸に飛び込んでお礼を言うと、氷壁の飛竜の前へと向かった。「なぁ、ゾルダ、マリーに任せて大丈夫なのか?」あいつが、何か心配をしているようだけど、これぐらいの敵、マリーは大丈夫。「まぁ、本来の力を出せれば、問題なかろう」ねえさまはさすがわかってらっしゃるわ。安心してマリーに任せてね。「さぁ、氷だらけのドラゴンさん。 マリーが相手しますわ。 かかってらっしゃい」氷壁の飛竜がマリーの方を向くと、また一吠えする。「ガォーーーーーー」そんな遠吠えを何度しても無駄ですわ。荒れ狂う竜巻のような風雪がマリーの方に来たけど、一向に気にしないわ。「それだけしか能がないの? このドラゴンさんは。 それ以外してこないなら、こちらから行くわよ」た

  • モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている   第47話 荒れた天気の正体は…… ~ソフィアサイド~

    しかし、人というのは面倒じゃのぅ。いろいろ頼んだり頼まれたり。己の事だけやっておればそれでいいのではないか。あやつがいろいろと頼まれておるのを見ていると、そう感じたりするのじゃが……「のぅ、おぬし。 大変じゃのぅ。 いろいろと厄介ごとを引き受けて。 ワシじゃったらそんなこと聞かんがのぅ」次の目的地に向かう道すがら、あやつに問う。「そもそもそれが俺がここに呼び出された理由でもあるし…… 確かに何でもかんでもとは思うことはあるけど、 困っている人は放っておけないよ」あやつもあやつなりに考えるところはあるようじゃな。それでも引き受けておるところをみると、人がいいのじゃろぅ。それか、よっぽどのバカじゃ。「まぁ、ワシはゼドをぶっ潰せればいいし、 強い奴らとも相まみえることが出来ればいいんじゃがのぅ」長い間外に出れなかったのもあって、ゆっくりと外の世界を満喫したいとは思う。そうは思うのじゃが……「とはいえ、早くゼドをぶっ潰したいので、先を急がんかのぅ」とあやつを急かしてみる。しかし、あやつは、「急いで行ったら、俺が死ぬよ。 確かにゾルダは強いけど、俺はそんなに急に強くはなれないし、死んだら困るのはゾルダだろ」と正論を言ってくる。おぬしが弱いのはわかりきっておる。だから鍛えてきたのじゃが……確かにゼドたちと戦うには、まだ足りんやもしれぬ。ただ出会った頃に比べたら格段には成長しておるがのぅ。「わかった、わかった。 おぬしに死なれては、また剣の中じゃ。 おぬしのペースでいいのじゃが、ワシら気持ちもわかってくれ」急いても仕方ないので、しばらくはおぬしに付き合っていくしかあるまい。ゼドのところに行くまではのんびり構えておくかのぅ。そんな話をしながら、ワシらは砂漠を超えて、問題の山のふもとに到着した。「なんだか急に寒くなってきましたわ。 ねえさま、寒いですわ」マリーの奴はそう言うとワシにぴったりとくっついてくる。「今まで暑かったのになー 急に天気が変わり過ぎだよー」小娘の娘も寒さに震えだしてきたようだ。山頂の方を眺めると、雲で覆われて何も見えないのぅ。少し上の方を見ると一面が白く覆われておる。「いつもはこんな天気じゃないのかな。 これが異常気象ってやつなのかな」あやつも山を眺めながらそう言っておった

  • モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている   第46話 次の目的地 ~アグリサイド~

    昨晩はなんかすごく疲れていた。宿についてベッドの上で横になってからの記憶がない。ゾルダやマリーが俺の部屋でなんか話しているような気がしたが……朝になりベッドから起き上がると、部屋は静けさが漂っていた。ゾルダたち3人は自分たちの部屋に戻ったのだろうか。寝ぼけまなこをこすりながら、昨日デシエルトさんが言っていたことを思い出す。『明日落ち着いたらでいいんだ。 昼でも食べながら、今の状況について話をさせてほしい。 国王様からも話が来ているのでな』確か、そんなことを話していたと思う。さて……今はどのくらいの時間帯だろう。閉まっている窓を開けると、まぶしい日差しが入り込む。人々は街を行き来し、活気にあふれていた。まだ建物の修復が終わっていないところが多いためか、その作業に追われている人たちもいた。空を見上げると……日は高く昇っている。…………「あーっっっっっっっっっっっ」デシエルトさんとの約束の時間が……全身から血の気の引くのを感じた。一気に目が覚める。バタバタしながら出かける準備をする。落ち着けと落ち着けと自分に言い聞かせながら。準備が終わると、俺は部屋を出てゾルダたちを呼びに行った。先日はここでノックをしてすぐ扉を開けて大変だった。いわゆるアニメや漫画のお約束シーンのような出来事だった。さすがに今日は大丈夫だろうとは思うが、ここは慎重に。慌てずノックだけして、話をしよう。「コンコン」「俺だ。アグリだ」すると中からゾルダの声がした。「遅かったのぅ、おぬし。 今日は全員服を着ておるから安心しろ。 入ってきても大丈夫じゃぞ」ある意味普通のことだが、安心して扉を開ける。中を見渡すと、相変わらずゾルダの横にベッタリしているマリーと大きく伸びをしているフォルトナもいた。「遅くなってわるい。 昨日デシエルトさんに昼に屋敷にこいと言われていたのを忘れていた たぶんそのまま次に向かうと思うから準備して行こう」そうゾルダたちに伝えると、皆が準備するのを宿の外で待つことにした。準備はすぐに整い、全員でデシエルトさんの屋敷へと向かった。時間も時間だったので、急いで向かうことにした。ゾルダは特に気にすることもなく「もう少しゆっくりでもいいじゃろぅ そう慌てるもんでもないのにのぅ そんなのは待たせておけばよ

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